給料

をもらいにお世話になったホソヤさんに会いにいく。


するとホソヤさん、どうやらこちらである講演か課題か、そこに日本人を呼びたいというようなお話で、誰がいいかという話題になる。
そしてぼくはすかさず西沢大良(敬称略)ゲキ押し。


というのもその前の話題で、
最近のスイスのコンペでは、壁の組成というものが何よりもデザインのキーになっているんだそうだ。
いわゆるエネルギー、エコロジカル、サステナビリティの問題である。
若手建築家が出すような集合住宅やオフィスなどのいかなるコンペでも、断熱などといった壁の組成というものがガチガチに決められていて、
どんなに空間が魅力的でもそこでひっかかればアウト、となるそうなのである。


が、対して西沢さんは壁の組成で空間をつくりあげてしまう。
いわゆる『重さとディテール』の話である。
「都市の問題からインテリアの問題までを、壁の組成にたたみ込める」なんて台詞をここまで凄んで言える建築家は今現在彼以外いないだろう。
kさん曰く''純粋建築家''のこうした発言はまさに建築の建築性的言い回しではあるが、
これが先のコンペの話みたいに社会的問題として浮上した今、どんなに都市や社会から建築を語る建築家の弁よりも社会に近接している建築家のことばに聞こえて仕方がない。


こうした状況下にいるETHの学生たちは、こうした壁の組成に対して物凄く詳しい一方で、
それをエンジニアリングの問題としてではなく空間の問題として扱うことに苦悩しているというのが現状らしい。
それじゃあ大良さんでしょう、ということである。


スイスだけではなく、日本も近々、というか既にもうこの問題は起きているんだろう。
アトリエ系が組織事務所を乗り越えるためには、実はこの建築の建築性を手に入れることがいちばん近いんじゃないかという気がしてならない。