合間を縫って

ZURICHを深める。メルクリ、ケレツ、スカルパ。


ケレツの MEHRFAMILIENHAUS FORSTERSTRASSE が想像以上に重い。
SCHULE LEUTSCHENBACHをいっしょに見に行った友達が「帰ってから吐き気もよおしちゃったよ」なんてその重さを表現していたが、
これまで見たケレツの作品にはそれがつきまとう。
全体の大きさ・プロポーションの問題もするが、
この建築ではそれよりも壁と床が同じ厚みを持った線として表現されていることがそれを引き起こしている印象である。
あとはミースを見てからじゃ如何せんサッシがごつすぎるぜケレツ。
期待していただけに少し残念な思い。


スカルパの CASA ZENTNER の立面の自由さはなんなのだろう。
何といっても目立つ緑の垂直性でつくられたシンメトリーが、
左右のピンクの壁に穿たれた自由な窓や黒いヴォリュームの出たり入ったりで見事に崩されていく。
植物という非対称の代表みたいなものが何よりもスタティックな存在になっているのがおもしろい。


シンプルなコンセプトを追求したものは、一見で思いがけない点からでもその善し悪しを判断されてしまう危険が孕むことと、
さまざまなプロセスの集積のような表現がなされたものは、分かりにくくも熟考を自然と引き起こす可能性があることを確認する。


ケレツのガラスが青く見えちゃうのは何だろう。彼のコンセプトにとってこれは弊害である。

スカルパ。うーん、これは一見分からんどす。

寄れば寄るほど間違いなくあがるスカルパ性。