だすいすとはいせんす

なZURICHと出会った今日一日。


語学の授業が最終日ということもあり、家から届いた荷物のなかに入っていたpenのスイス特集を頼りに街を巡る。
いちばんの目的は寮のだだっぴろい部屋に合う家具。
IKEAはこないだ行ってみるもののやはりあの量に対してぐっとくるものがなかなかないのは問題なのでは(いいものもあるが、おたまとか)。
スウェーデン人の留学生が無印良品を''THAT'S JAPANESE IKEA.''と言っていたが無印のほうが断然ぼくは好みである。
ものにまでコンセプトを貫くのはやはり重要。


そんなことはさておき、まず向かったのはこないだ通り過ぎただけのFREITAGのフラッグショップ。
バッグははじめてちゃんと見たが封筒型のやつ(ラップトップ用?)が少しほしくなってしまう。
建築はあれだけ積まれたコンテナが途中からほとんど階段だけの空間になって(コンテナむき出しがなかなかかっこいい)、
最後には展望台にたどりつくっていうのに驚き。まさにてづかさんのキョロロ。


その後そのすぐ近くの Bogen33 という家具屋さんへ。
この店がいい。
倉庫みたいな建物の半地下にあるのだがもう入る瞬間からいいのが分かる。
いい感じにくたびれた有名無名のアンティークな家具がどれもこれもぐっとくる。
子供用の、少し赤みを帯びた木目がなんともいえない椅子、ナイス。45CF。
足が天板に勝って四隅にかわいい丸があらわしになったローテーブル、ナイス。170CF。
それより少し高いけど一回り小さい、足がスレンダーで二段になってるテーブル、ナイス。350CF。
よく分かんないけどおそらく傘立てであろうくたびれた金属でできたなにか、ナイス。750CF。
ひさびさに家具で刺激を受ける。
家具も、素材と、足の細さとか天板の厚みとか、プロポーションがいいものってのはやはり目に留まる。
唐突にもかたちとはなんなのか。
nonnativeの服に出会ったときは「シルエット」ということばで考えた。
複数のヴォリュームを扱った卒制では「バランス」ということばで考えた。
メルクリの講演を聞き、彼の絵をまじまじと見てからは「プロポーション」ということばで考えている、今日この頃。


そして今度はSpheresというブックカフェ。
予想以上にブックが少なくカフェが充実していて、このカフェがまたなかなかいい。
店内の二階にブリッジ状にかけられた席もよいが、なんたって半外部状のテラス席の雰囲気がかなりよい。
もともと倉庫か増築か、屋根も半透明でツタが回っててかなりざっくりした空間。
伝えにくいが店内から出てる階段がよいのだ、また。横にはすぐ湖がありいうことなし。
次回はちゃんとお茶をしよう。


そして、湖のほとりででくわした公園のパビリオンみたいな建物。これが再度いい。
すぐ思い浮かんだのはちばさんの盲導犬せんたー、いわゆる箱とデッキの構成。
が、デッキの屋根を陸にしないのがわかってる。
箱はすべて片流れ。その流れを受け止めるように下りてきた軒をデッキが再び片流れの屋根でゆるやかに挙げる。その反復。
そうしてできたなみなみのシルエットが建築の全体性をしかとつくり「箱とデッキ」なんてもう言わせない、
おおらかな建築の大きさを手に入れている。
プラン上にあるドウとロウという、異なるかたちの空間を、大屋根ではなく、
軒または棟をともにした「片流れ」という屋根の「かた」というものを反復させることでも全体性をつくることができるのだなと感心。
かたちではなく言語、イメージの次元で全体性を獲得できてると言えるんじゃないか(もちろん軒棟の扱いがきいているのであるが)。
その目の前に置かれたジャングルジムではこどもがきゃっきゃと遊び、また裏では老夫婦がひっそりとだが熱くピンポンをしているのを、
パンケーキのいいにおいがつないでるのがなんとも幸せな体験すぎる。
「まだまだ夏は終わらない」と白い息を吐きながら半袖で朝出たかいがあるほどあつい太陽にもうながされ、
その雰囲気にのっかりぼくも湖に足をもぐらす。


偶然か必然か、どこへ行くにもぐっとくるZURICHの街に脱帽。


Bogen33。手前のテーブルがよいです。東京にあったら間違いなく買う。
なんか天井がうねってるのも印象的なお店。アイゼンマンといい天井いじるのって効果大きい。

屋根これだけしかやってないんですがよい。波板天井ってのもよかですね。壁との境がかわいくなるし。


※かたの反復と全体性