雨が

極端にきらいなため、雨が降るとすぐどこ行く気も失せてしまう私め。
ZURICHの秋はほんとうに雨が多いらしく、こないだまであんなに暖かかったのが嘘のように毎日雨、そして冷える。
だが「晴れるのを待ってたらどこにも行けない」との先輩のお言葉に納得させられ、近郊建築巡りをすることにする。


チョイスしたのは寮からも近いKerezによる学校。まだ建設中。
「雨と工事中」という組み合わせはSANAAの ZOLLVEREIN のときを思い出す。
スタジオ選択の際、迷いに迷ったがすえ、東工大での講演でこの作品に感動したのを思い出してKerezを選んだだけに、ぼくにとってはなかなか重要な建築。
大きな公園のまさに角を抑えるような建ち方で、もう完成間近、というぐらい外観的には建っている、そして浮いている。
ヴォリュームもなかなか大きくかなり頑固な浮き方をしているものの、ブレースが予想以上にスレンダーなのに驚き。
そのブレースがガラスから少しだけ離されていて、雨にも関わらずいい感じな陰影を描く。
ブレースが独立していることで角でなにかつまみ上げてるような印象を与えるものおもしろい。
スラブもかなり薄く、それが張り出した繊細な姿は丹下さんの香川県庁舎を思い起こさせる。
1層目と5層目の天井につけられた折板構造による細やかな折れ目が篠原先生の百年記念館(の天井)をも思い起こさせる。
それにしても1層目でこれだけ無理してキャンチしているわりに全然天高が低いのが気にかかる。ここは何のための空間なのだ?
そんなことも含め、かなりできあがるのが楽しみになる。


もうワンチョイス、そのまた近くのMarkliによる SCHULHAUS IM BIRCH。
これが建ってるNEW OELIKONという街は、比較的新しく、大きく、そしてカラフルなヴォリュームがゆったり距離をとってばらまかれていて、
空地の使い方がいいのか、団地っぽくみえるのをうまく避けている街である。
それと同じような大きさで、3つのヴォリュームが市松に並べられてできたのが目的の建築。
雨に濡れた規律正しいコンクリートのオーダーはまさに神殿のごとく。
が、そのグリッドが窓、ブラインド、カーテン、壁、テラス、そしてエントランスと、さまざまなもので埋められているのが現代的。
ささやかなジャイアントオーダーとでもいうような、何よりも少しだけ前に出ている縦に走った細い「柱」が美しい。
a+uでこの建築を見て、この「柱」のかっこよさに感動して卒制でも試みようかと思ったなぁ、と少し物思いにふける。
思いがけず中に侵入することができ、Markliらしい素材たっぷりの贅沢な空間を体感。ガラスブロックが特に効果的。
途中怪しまれるも「イッヒモフテトワレッテゲーヘン」で切り抜ける。そんなトイレももちろん拝見。
初Markli建築だったが、手すりとか照明とか、ところどころの(かわいい)こだわりが印象的なる印象。


帰り際COOPでなかなか手ごろの廃材を見つけ、「テーブルにしよう」と意気込んで帰るも置いてみると思いのほか小さい。
なので下駄箱ならぬ下駄板にする。これがなかなか気に入り満足。これでひさびさの裸足生活ができる。


シノハラブということで白黒に。ついでにぼかしてしまう。

バリケードが破られていたので近づくに近づく。天井パキパキ。

メルクリのファサード。ピッてでてるのがかっこええねん。

メルクリの手すり。なんやこの遊び心は。

下駄板。ケレツのごとくミルヒのふたで浮かしてみる。