ミュンヘンにて

ついに落ち合うことになりました、ムツロウ&スガヤロウ。なんといってもオクトーバーフェスト目的である。


ZURICHから直行で4時間、MUNCHEN HBに到着し二人に再会、さっそく昼メシがてらにフェストを視察に行く。
あいにくの雨だが、みなさんあの独特のきっと寒いであろう衣装をずぶぬれにしながら、
仮設でできたジェットコースターなりなんなり、まさに遊園地のアトラクションを楽しんでいる。雨の中やってるのでなかば狂気じみている。
メリーゴーランドは本物の馬だし、観覧車はすごい速くて5周くらい回っちゃうしでなかなかおもろ。
とりあえずソーセージだけ食べて次の目的地、 SAMMLUNG GOETZ へ。


が、「今日はホリデーよ」とあっさり断られる。ムツロウの調査不足、ががーんである。
まぁ明日また来ようということになり、仕方なくできたばかりのコープ・ヒンメルブラウ設計 BMW WELT に向かう。以前は工事中やったなぁ。
オリンピックパーク駅もかなり様変わりな感じでこれがいきなりお出迎えする。ザハのフェノの印象に近い。
なんかこうして駅前に有名建築家の巨大建築がどーんとお出迎えしちゃうのも、便利な一方、一種の郊外化っぽく感じてしまう。
そう思うとゲーリーのHERFORDのやつは街の中に埋もれてて、後ろには小川もあってと、なんかこの街になくてはならない感じの印象になっている。建ち方重要。
地面と外壁をレンガという同一素材でくるむって方法も建築を根付かせる意味でなかなか効果的ってことかもしれない。
だがこのWELT、外観はなかなかキレイにつくってあってかっこよい。もともとあるBMWのビルやオリンピックパークとの関係もよいと思う。
あのグオングオンした空隙からオットーがみえるってのも分かりやすくて良いんじゃないか。
しかし、中はグオングオンしたやつが建築に対してかなり小さい空間になってたり、またその他の部分がかなり間延びしてる感じをうける。
真ん中がパリコレでモデルが歩くとこの自動車版みたいになってて、そこでなにも行われてなかったから余計に緊張感がなくなってたかもしれない。
なんかリッチな駐車場みたいに思ってしまった。
これは、外観においてこの建築の見せ場であるトルネード部分がつくってしまう、この建築に占めるぼくらのイメージの大きさと、
実際に内部で体感できる、その部分の実際の空間的な大きさというものの大きすぎる差がつくりだしてしまうガッカリ現象と位置づけられるかのではないだろうか。なんつって。


そして今度は OLYMPIAPARK MUNCHEN へ。
相変わらず刺激的な空間である、まさにはやすぎた未来。
2度目に来て思うのは、膜がつくる空間はもちろんよいのであるが、それに加えてそれを引っ張っているケーブルの役割がかなりいけているのである。
もうザックザク公園のなかに突き刺さっていく。斜面だろうと道路をまたごうとおかまいなし。
それがこの建築の、これまた実際にぼくらの抱くイメージ的な大きさを今度は拡張して、公園一帯が実はこの建築なんですよと呼びかけてくれる。
それはつまり、このいま歩いている大地そのものも実は建築なんだ!という感覚。あの実はでかいカメの上を歩いてたんだみたいなイメージ。
その、視覚的には一望できてなくとも感覚的には建築全体を常に体験しているような感覚は、かなり透明でさわやか。
同じくケーブルが圧倒的な丹下さんの代々木のもっている完結性との対で、建築が完結していない印象を抱かせることも一因かもしれない。
長谷川豪さんの建築の大きさの話や、コーリン・ロウの透明性の話を読みたくなる。本、求む。
以前は入れなかったプールも見ることができ、かなり楽園的なしあわせな空間にしばし暖まる。


さて、その後ついにオクトーバーフェスト今度は飲みますモード。
どこの小屋も満員御礼で、予約しないと入れないと2度ほど断られてしまう。
が、この小屋が最後というムードで挑んだ3つ目、しばしの満員電車のようなぎゅうぎゅう感に耐えているとついに侵入成功。そして歓喜のリッター乾杯。
なかなかこの待ちわびる感覚をつくるって意味では満員ってのもいいものである。
とにかくみんなひたすら飲んで、歌い、踊り、そして口説いている空間。
その熱気が視覚的に認識できる蒸気となって大空間をくるんでいるさまは、もう神々しさを帯びてきている。
同席したフィンランド人やイタリア人と何度も乾杯コミュニケーション。飲んでるせいか英語も意外に通じるのがうれしい。
本当にビール好きにはたまらない空間。
日本に帰ったときはぜひ横浜のやつに行きたい。


もうみんな酔って疲れて、スガヤ宅に帰った瞬間バタンキュー。


堂々すぎる建ち方のBMW WELT。そしてそれをきゃっきゃと撮るムツロウとスガヤロウ。

公園の至るところにささりまくりのケーブル。そしてそれと一体になることをきゃっきゃと喜ぶムツロウとスガヤロウ。

そして夜のしあわせすぎる空間。みんな終始笑顔。


※ガッカリ現象/建築の非完結性