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ニュースにて坂本先生の百年記念館での展覧会の記事を見つけ朝から盛り上がったミュンヘン2日目。
まずは白ソーセージを食べるところから。


前回来たときはホテルの位置がよくなかったのか、ミュンヘンと言えば駅前のいかがわしいお店の印象が強くあまりいい街のイメージを持っていなかったが、
朝から散歩してみると実はかなり美しい都会であることに気づく。
ネオゴシックの新市庁舎もかなりかっこよい。まさに線画のごとく走る陰影がげきしぶい。
そこから徒歩10分ほど、我らが地球の歩き方ご推薦のレストランにて白ソーセージを頂くことにする。
白ソーセージももちろんだったがこのお店のプリュッツェルがうまいうまい。
ソーセージについてきたお手製のマスタードにも、そしてビールにもすばらしく合う。さすがドイツ、食の街。


その後すぐ目の前にあるH&deMの FUNF HOFE にてショッピング。ここはいろいろと感慨深くなってしまいます。
前は看板だけだった無印良品がもうオープンしていて、日本人3人でうろうろ。ほしかったお香をゲットする。
カフェにてご飯茶わんくらいあるギガンテカプチーノで一服。
名前を忘れてしまったがスガヤご推薦のシャンパンみたいなワインもおいしい。


いい時間になりましたということで、ついに昨日のリベンジを果たすべく再度 SAMMLUNG GOETZ へ。
入ろうとする直前にふと前来たときのイメージを思い浮かべたとき、突如この2回の訪問のあいだに訪れることのできた篠原一男の白の家の映像が重なってくる。
まさに「大きな」空間。ゲーツはこれにつきるんじゃないか。
昨日に引き続き、今度は今度は外観が抱かせるイメージでは想像できないほどの大きな空間。
それぞれにとって大事なのは、ぼくは空間のかたちなのではないかと思う。
白の家で、もしあれと同じ体積の勾配屋根表しの空間があっても何も驚かないんじゃないか。
ゲーツギャラリーで、もしGLレベルからあの立方体のヴォリュームが体験できても何も感動しないんじゃないか。
ぼくは白の家では方形屋根によって勾配天井の空間を、ゲーツギャラリーではぐるりと建築にまわされた乳白色のガラスによってもっと薄い空間を思い浮かべる。
そして篠原一男は、H&deMは見事にその期待を打ち破る。この重なりが建物、いや建築にとっての「大きさ」というものなのだと言わんばかりに。
これぞまさに建築言語を駆使した高度かつ普遍的なコミュニケーション。


そんな期待を抱きつつ、前回は入れなかった2階からどんどん見ていく。
展示されているのはFrancis Alysという、ベルギー生まれメキシコ在住の作家によるもの。
これがかなりおもしろい。絵画に映像にスライドに、それぞれがあるべき場所に展示されている、そんな印象。
ゲーツのシンプルな空間が、ときにはソファが並べられたリビングのように、ときにはテレビがおかれたダイニングルームのように、
ときにはみんながふと座り込んでしまうような路地のように、そしてときには中が垣間見えてふと立ち止まってしまうような小劇場のように、
置かれた作品とその置かれ方によって、次から次へと変化していく。
作品が、階段やその裏にある隙間、踊り場、手すり、開口、床、そして部屋の角など、建築の部分と緻密に対話することで、まさに空間が見つけられていく。
7つの視点で犬と人がすれ違う映像作品や椅子とりゲームを逆再生した作品(これはかなりうけます)、寝起きや影がテーマの作品など、どれもこれも印象深く残っている。
そしていつまでいても飽きない澄んだ空間。きっとホントに家にしても心地よいと思う。
くるくると手で塗ったような内壁の仕上げがそんな思いをさらに大きくしてくれる。


どっぷりといい空間に浸かっておなかいっぱいな気分さめやらぬまま、最終目的地 ALLIANTZ ARENA に。
バイエルンVSボーフム(小野のチーム)というかなり熱い試合がやっているがチケット完売で中には入れず。ムツロウのかなり入りたそうな後ろ姿。
来る時間が遅すぎたという少しばかりの後悔を抱きつつ、夕日できらきらしてきたスタジアムを名残惜しくあとにする。


帰りの電車の時間まであと3時間、ハイネマンのチョコをなんとか思い出して見つけたのち、市庁舎近くのレストランにて夕食。
対応してくれたおばあちゃんウェイトレスがパワフルにかわいらしく、ミュンヘンの大阪性を久々に思い出す。やはりこの街はこうでなければ。
時間を持て余し、夜の高級ブティック通りをお店の名前をドイツ語風に読みながら進むというくだらないことをする3人。
なぜにルイ・ヴィトンが日本で人気があると言えば、それはドレスが日本人の体格には合わず、
それでもブランド志向のつおい人たちはかばんに行くからやないんかという有意義な仮説を、
ドレスって日本人に似合わないよねという些細な会話から手に入れることができ、個人的にそのプロセスの素晴らしさをかなり気に入る。


そんなことしてる間に電車の時間。楽しかったです、今度はイタリアで会いましょう。


個人的に商業施設というのは建築の中で最も評価しにくいもののひとつだけど、これは素直によいと思うFUNF HOFE。

かなりやり手なFrancis Alys。スライドというのがなかなか新鮮です、カチャカチャと音がよい。

道ばたみたいになってる階段。左脇のでっぱりとかにも腰掛けたくなってしまいます。


※大きな空間