ほぼ

二徹のなか挑んだVORUBUNG2/SCHALENBAU×BUROHOCHHAUS、ケレツとの一回戦。
が、いきなり撃沈。


コンセプトは前回記述した通り、HPシェルを使いトロハのスタジアムの屋根ばりに1本の柱で25×25Mのスラブをもたせ、
それを16枚、すべて異なる点で直接地面に柱を落としながら、高さを変えて80Mの高層ビルにしていく。
シェルは点での力にもろいことを逆手に取り、下の階のスラブには一切デタッチドで地面に落としていくことで、
1層目はあたかも16×16グリッドで柱の落ちた均質な空間が、そして最上層は1本の柱が大きなスラブを支えるダイナミックな空間が広がる。
どの階も異なるセクションそしてプラン、が構造システムは全ておんなじ。
またあたかも天井を支えているかのような柱のほとんどはフェイク、だが決して不要な装飾ではないれっきとした構造材。
シェル構造というものを使ってこのように「柱」と「スラブ」というものの関係性に揺さぶりをかけ、
そうして立ち現れてくる新たな意味の重なりによって建築に緊張感を与えていく。柱は支えるものからときに空間を分け隔てるものへ、というように。


とまぁこういうコンセプトでかなり個人的には今まで建築をやってきたなかでかなり知的な緊張を保ちながらスタディでき、
シンプルな構成をとったことでプレゼもなかなか充実できたのだが、ケレツの厳しい一言。
「コンセプトはいいがsenselessでありnot ethicalだ、このコンセプトは捨てて新しいことを考えた方がよい」。
ががーん、である。
アシスタントの評判もよく、意外に好印象に思ってくれる人もいたので、正直思いもよらぬクリティーク。
オフィス空間に5×5Mの間隔で500MMの柱が落ちることがそこまで非常識なのか、それよりもそこで引き出される建築的な意味に新たな価値は見出せないのか、
とこれを機に議論を発展させようにも英語力不足が祟り、どうしても言葉につまってしまう。
「新たなシェル構造を生み出すことより今あるシェルの新たな関係をつくることで新しい建築的な意味をつくり出したいんだ」と言うものの、プレゼ不十分で伝わらずな感。


「ケレツを通した篠原一男再考」が、ぼくのケレツスタジオでの裏テーマ。
今回の案はかなりそれを全面に押し、これが篠原なんじゃないかというのを問いかけるつもりでぶつけたものだったので、
そういった議論もできずに終わってしまったのが悔しいというかもったいない感じになってしまったと反省。
「積極的に行くべきだ」というsnさんのアドバイスが思い出す。


しばらくこれを乗り越える案は出ない感じ。
ケレツが案を気に入ってないのか、柱が多いことを気に入ってないのか、そこらへんの空気感が分からないことが空気の読める男としていちばんの大きな壁かもしれない。
ちょうどSEMINARWOCHEもあることなので、ゆっくり考えませう。というか徹夜よくない。


ということで来週はATHENS-DELPHI-METEORA-THESSALONIKI-ISTANBUL バイ マテオ。


今思うとsenselessなことをカバーするくらいのパワフルさが空間に足りなかったかもです。もうほんの少し。