セル

の第一形態みたいな髪型が目につくATHENS二日目。マジこの髪型はすごい。神話的で、飛べそうです。
今日のガイドのおばさんの髪型もなぜかそんな感じ。


そのもとまずは NATIONAL ARCHAEOLOGICAL MUSEUM OF ATHENS へ。
高校時代はもっぱら地理っ子であり日本史・世界史ともに疎いぼくはこの手の博物館が苦手である。
ガイドのおばさんがしゃべりまくるのもなかなかつかめないままだったが、人を象った彫刻の精度がだんだんと上がっていき、
直立しただけの姿から、笑顔になり、そしてなにかを投げるような躍動的なポーズをとるまでになるうちにどんどんと精気を帯びてくる感じがおもしろい。


そして次は完成したばかりのバーナード・チュミによる ACROPOLIS MUSEUM 。
ごみごみ、こまごました街のなかのヴォリューム感や掘り起こされた遺跡を望めるスケスケの床、そしてギリシャの列柱を思わせるスリット状の窓など、
ところどころおっと思うことはあれどそれ以上の思いがこみ上げない。
まだオープン準備中で全体を見れなかったから何とも言えないが正直なかなかにだらしない空間なんじゃないか。
丸々太ったような列柱がよくないのか、間隔も狭く地下の小さな展示室にそのまま出てきたときにはかなり苦しいものになっている。
MVRDVのGYREのごとく、アクロポリスと街のグリッドに沿う二つ三つのヴォリュームがずれて積み重ねられた構成のうちにあるその列柱が、
今度はなんのグリッドを示したものなのかもいまいちつかみにくい。


前半は不発。そんななか望んだおそらく今回の旅のメインのひとつ、ACROPOLIS (OF ATHENS) 。
''ACROPOLIS=高みの街''の名の通り、ATHENSという街には、街のところどころにクリーム色の丘がもこもこっと唐突に盛り上がっているのが非常に印象的で、
そんな丘の上に必ずと言っていいほど建築がへばりつくように建っている。
これも、丘があって、そこから同じ色をしたレンガの基壇が切り立って、その上に神殿が建てられている。
圧倒的なマンパワーを感じるとともに、自然に根付く術を知っているようでもあり、石の文化に嫉妬してしまう。基壇に見えるバットレスがメガファイン。
そしてその丘の中腹にはスタジアム。スタジアム好きにはたまらないです。
完全なる幾何学を自然のコンターになじませているのがぼくの卒制とは真逆で、言い訳がましくないすばらしきクラシカル。
そしてそして入り口である PROPYLEES に到着。突然進行方向に初めて視界が開ける。
ギリシャに到着して以来、初めて街の風景に感動する。どこまでも広がる白い小さな建物の群れ。そこに圧倒的なスケールで点在する丘と、そして神殿、スタジアムなどなど。
遠方に見える山並みにどんどんとのびてゆく住宅群にみな息をのんでいるのが分かる。
しばしのガイドののちに、ついに PARTHENON 。
でかい。なんか全体の実際の大きさではなくて、柱や、基壇や、階段や、それぞれの要素のヒューマンスケールを超えた分厚さがそんな思いにさせる。
そう、これは人間のものではきっとないのだ。
ひたすら語り尽くすおばさんの説明も筒抜けに、この建築を語る言語なんて自分はまだ持っていないことにも気づきつつ、ただそんなことを自分に言い聞かせる。
アシスタントのフロリアンの話はおもしろくて、例えばエンタシスや視覚調整など、この建築には無数の曲線が使われているということが、
現在流行するフリーフォームのグニャグニャ建築とどう違うのかという問いかけ。
これがけっこうこの旅行のキーになっていた気がする。
いわゆる斜めの視点で見る正面部分に対し、引きをとってみることのできる裏側のファサードのほうがPARTHENONのプロポーションの美しさを充分体験できるという感じ。
...いろいろ考えてみるもののまだまだ語る勇気がでない建築である。


ACROPOLISで時間を使いすぎたせいかその後の予定がボロボロで、「あとはフリータイムだ」という状態になりそれぞれ分かれてごはん。
オープンカフェで食べているとスコールに見舞われるも、そこは後に楽しい思い出になるちょっとしたアクシデントと仕方なく雨が上がるのを待つ。
晴れてからカラトラヴァのオリンピックスタジアムなども見に行くも入れなかったりでまぁ今日はこんな感じかと諦める。


暗がりのなか3時間ほどバスに揺られ着いたDELPHI
まさに小さな観光地で、日本を発つ直前に行った赤倉の街を思い出す。ホントに細い通りの1本だけが明るい感じ。
意外にそのスケール感が心地よく夜の散策をしたのちみんなでレストラン&バー。


ウゾというギリシャの焼酎みたいな酒を片手に、''cin cin''という言語的問題に始まり、マンガとアニメの話で盛り上がる。
ジブリエヴァドラゴンボールクレヨンしんちゃんにナルトに、その辺は要チェックらしいです。


「この1球で勝負だ!」@NATIONAL ARCHAEOLOGICAL MUSEUM OF ATHENS

チュミの美術館。右のおばちゃんみたく下を覗き込めます。これはなかなか楽しい。

スタジアム。こんなのが街中にあったら本当にすばらしいと心から思う。

PARTHENON。今回は圧倒されるばかり。何回も見なきゃいけない気にさせられる。

ACROPOLISから見るATHENSの街。ごみごみした街とそれをぶち破る丘の構図。この単純な構成がATHENS。