強そうな

魔法みたいな名前の街、METEORA。シスターと化したガールズはみんなスカート。
奇岩目指してさっそくバスで出発。


もう、ジブリの世界です。
そもそもこんなでかくて細長い岩がどうやってできるんだってえやつの上に、なんと建築がのっかっている。
それも1こじゃなく、大きいのから小さいのまで、かなりの数である。
まずはおそらく最も小さいもののひとつ AGIOS NIKOLAOS から。


もう最初の階段から完全に私めの好みで、岩肌に沿ってうきうき登る。どんどん広がっていく神秘的な風景。
なかに入っても階段だらけで空間としては非常に小さいも、隅々にまでフレスコ画によってイエス様とかが描かれており、
修道士の方々はところどころで足を止め、深くお祈りをしている。
このさまに我が祖母をふと思い浮かべる。
この建築群はまさにレンガという、建築のなかでも最小単位のピースを用いた組積造という素晴らしい構法のなせる業なのだが、
おもしろいのが、おそらくこの建築にはきっと直角や直線がほとんどないのではないかということである。
いやいやありますがな、と言われそうだが、きっと素人がやったであろう壁も天井も床も、どこもかしこもわずかに歪んだり波打っていたりして、
それが非常に柔らかい空間をつくっているとともに、この建築が史上最高のコンテクスチュアリズムであるんじゃないかとも言っているようなのだ。
地形の複雑さがレンガのピースをひとつまたひとつと積むたびに少しずつ伝わってできあがった揺らぎある全体形。
屋根も歪んだ平面形に応答して推動、切断、離散、縫合の連続。梁も渋いことになっている。
外に向かって窄まっていく窓もとてもよい。


道中、奇岩の上でしばし休憩。
ほんと落ちたら死んじゃうだろというところをみんな駆け上がっていく姿が若い若い。
ぼくは自然におののき過ぎの人間なのであるが、久々のスリルと心地よい天気とそして360°広がる絶景に心が洗われる。
残念ながら定休日の MEGARO METEORON を目に焼きつける。かっこよすぎるだろ。


その代わりに MONI VARLAAM へ。
もうほとんどアプローチに尽きることにこのへんで気づいてくる。
グエル公園を彷彿とさせる岩肌をなめるような曲線のベンチや、ところどころふくらみをもって眺めを見渡せるようになっている階段。
辿り着いた目的の建築の印象なんて忘れてしまうほどに最高にエンターテインメントな道である。
青木さんの動線体は大好きな考えだけど、ぼくはそれに負けじと''経路''という既存の概念も大好きだ。
なぜなら経路には記憶が宿っている。経路が指し示す向きには強い意味が含まれている。
小学校が城跡だったせいか無意識にそんな嗜好が眠っているのかもしれない。


そして最後に AGHIA TRIADA 。パンフレットとかの絵的には最も有名らしい。
他の修道院のアプローチは岩肌に沿ってという感じだったのが、これに関しては岩を完全に削っている。
自然と人工のコンビネーションがバッチグーなかっこよさ。
この修道院の内部空間が見たなかではいちばん多様で、いろんな窓があったり、バラガンばりの天井とか、というかなんかバウワウに似た印象を受ける。ので好き。
矩形の部屋なんかない感じで、それが断面でも床が斜めになってたり天井がドームだったり、不意に木造の部屋があったり。
住んでもとても気持ち良さそうで、またとてもアドホックなんだけど、でも神聖な不思議な空間。


その後の昼食の後、たまにはギリシャモダニズムもということでAris Konstantinidisによる HOTEL XENIA KALAMBAKA に立ち寄る。
もう使われておらずほぼ廃墟と化すもこれがかなり渋くてかっこよい。
ふうわりとピロティで持ち上げられることで自然を招き入れ、モダニズムには珍しい勾配屋根が客室部とその他の部分をつなぎとめる。
10MMくらいのコンクリートボードの屋根材やオレンジ色のスティールの構造ではない軸材がスレンダーな印象をつくっている。名作だと思う。


ここからが大変。
バスでTHESSALONIKIまで行きしばし観光、その後電車で国境を越えISTANBULのはずが、なんとギリシャ鉄道が急遽ストライキ
仕方なくTHESSALONIKI断念で、14時間ほどバスに揺られて国境を越えることに。
昨日の絶景から一転、夜になればなにも見えないただただ黒い世界が広がるギリシャの道路。
これがホントに何もなくて、何もないとこで急に止まったかと思いきや、男女関係なく草むらでトイレ休憩。もうガールズ笑うしかない。
夕食はインビスの簡単なサンドイッチとかで、国境を越えるのも手続きに1時間くらいかかったり。
やっとのことでISTANBULのホテルに着いたら着いたで早朝過ぎてチェックインできず、ロビーで23人があらゆる体勢を駆使して就寝。
なんとか朝を迎えたら今度はシャワー争奪戦。タオル持ってるオレえらい。


うーん、きっといい思い出になるに違いない。
グッバイギリシャ。今度はミコノスで会おう。


お待たせしました、これがMETEORA。空に向かって地球が殴ってます。

バスよりAGIOS NIKOLAOS。かわいい、ジブリ。これだけかと思いきや。

MONI VARLAAM。卒制でもこんな階段がやりたかったのーん。

その階段を見下ろす。分かりますか踊り場のふくらみ!この絶景を前にオサレすぎる。

ラストAGHIA TRIADA。建物からケーブルらしきものが走ってるのが見えますがケーブルカーが走ってたらしいどす。気持ちいいのか怖いのか。

せっかくなのでこの際さわやかな写真も。みんなホントに若いよ。

ホントのラスト、ボロボロホテル。細いスティールが空間をしめてます。