ちゃんと

スタジオ以外の授業もとってます。出るのはほんとにたまにですが。
スタジオの話ばかりもなんなので今日はそこいらをちとばかし紹介。


まずは、''URBAN MUTATIONS OF THE EDGE''。
このつかもと研ならいかにも気になってしまうタイトルと、そしてこのタイトルからも分かる通り英語での講義ということで、とる。
アンジェリルという都市系のプロフェッサーがやっている授業なのだが、
彼が毎回異なる講師を連れてきて、小1時間ほどタイトルに関連しそうな内容を講義させるというスタイル。
ベルラーへからザハの事務所など、なかなか豪華なメンバーが講義するというのがそれだけでもエキサイティング。
最初のガイダンスによると、現代の都市計画の方法論を明らかにしていくということが主な目的と言えそうか。
このガイダンスの際、ベンチューリ、コールハースとならんで我らが師匠のトランスダクションの図が出てきたときは興奮、そして尊敬。さすがです。


続いて、今週初めて出てみた ''ARCHITEKTUR IX''。ケレツ&シクが交替で行う建築講義。ドイツ語。
これがスタジオ当日の朝の授業ということでほぼ出るのは不可能なのだが、たまに運がよいとこうして出ることができる。
というか今週はケレツが語る篠原一男。出るしかないでしょう。


スライドで見るからか、新たな発見の連続であった講義中。
ケレツが実際にとったらしい今現在の様子の写真もたまに紛れ込んでいて、発表時のテンションの高い写真との対比がよい。
なんでもない写真なのだが、白の家に行ったときに感じた非常にヒューマニティーあふれる空間のイメージがうまいこと表現されている。
つまりは篠原一男はメディア型建築家のかなり先駆だったということか。
上原通りの住宅の書斎がガエ・ハウスの寝室を思わせるような暖かく物で溢れた空間になっていたのが特に印象的。
あの激薄の床の裏だろうか、バラガンのような表しの天井がにくい。
篠原作品ではあまり見ない外観写真もお目見え。
愛鷹裾野の住宅のカラー写真など。パルテノンのようなアプローチの先にまさに神殿があるんだけどアプローチが短すぎのどんづまりでどことなくかわいい感じ。
この住宅の図面を眺めると、あの神殿の列柱のごとき窓がまず決まったかのような優劣がはっきりと表現されている。
強い形式を持ちながら、昨今の図式的建築とは一線を画すここまでの力強くメリハリのある平面はさすが図学の人やんかーと思いつつ、
徐に百年記念館の立面図でもノートの片隅に描いてみたらなんとこれはロンシャンじゃないかと気づく。
建築を貫く半円のシリンダーの見えがかりはまさにロンシャンの屋根のあのカーブを幾何学化、抽象化したものなのではないか。
そして黒く伸びる非常階段のシリンダーはそう、まさにあの塔。
そしてそして1Fの、くっと飛び出た三角の(避難ハシゴのための)窓部分はそう、まさにあの末広がりのヴォリュームにどこか通ずる表現。
篠原一男の思いはわからないが、間違いなくぼくにはこれはそう見え、それゆえぼくにとっては世紀の発見である。


そんな熱いテーマが毎回ETHを代表する若手と重鎮によって繰り広げられる講義はまさにこの大学の神髄。
タウトにレオニドフにアスプルンド桂離宮に、いやぁ出れなかったのがもったいない。


加えて他のどの講義も毎回ミニポスター(しかも結構オサレ)が学校の至るところに貼られて宣伝されるのであるが、
これがいつもどこかで誰かの講演会が開かれているような空気をつくり出していて非常によい。知的好奇心揺さぶられまくり。
ポスターコレクターとして今後はしっかりはがし役を買って出なくては。


それにしても感じてしまう、''ワビサビ''が''ヴァビザビ''になっちゃうドイツ語ではまだまだスイス人が日本の神髄を理解するのは先になりそうな、そんな気配。


URBAN...が行われる赤いスペース、とぼくが呼んでる場所。こんなふうに廊下がふと膨らんでできたようなところで講義とかが行われる大学は素敵。

ケレツ、谷川さんの住宅を語る。ETHの魔神ブウと呼ばれるこの男の、ナイスな布教活動。オレも負けじと青本を見せまくる。