初南下

スイス。ドイツに行くときには見られないカミナダ的風景に感動しつつ、3時間ほどの電車、30分ほど遅れるも無事MILANO着。
相変わらずのメンバーのひとりムツオと合流、それでは北部イタリア旅行開始。


1発目はジオ・ポンティ、 GRATTACIELO PIRELLI がいきなり駅前でお出迎え。
50年近く前に建ったとは思えないほどのきれいさに感心するも、つい最近飛行機が激突し修理したためであることをあとで知る。
が、それを加味してもスレンダーで美しい外観はさすが。
駅から見える斜めの視点では現代的な''スカイスクレイパー''が、横に回って見るとすっと伸びた1本の''塔''になってしまうその立ち振る舞い、にくすぎる。
高層建築のないこの街では想像以上に象徴的である。
先細りしていく構造が伺える図面もナーイス。ファサードはそれへの対応か。


続いては旧市街に向かい DUOMO 、アンド GALLERIA V. EMANUELE 2 。
まずDUOMO、いわゆるジャッキンジャッキンである。
限りなくファサードという平面を強調したうえでそこをガッタガタにしていく精神がなんとも変態的でよい。
いや、実際はガッタガタを求めたゆえの軒をなぞる塔の異常なまでの量が他にはない平面性を生んだというべきか。
透ける軒ってのがなかなかおもしろいものである。
またその平面性から凹凸性への移行が近づくにつれてぼくの身体に降り掛かってくるような感覚に襲われ、思わず心の中で発狂してしまう。
そのテンションがよくある教会のようにファサードだけなのかと思いきや、横も後ろもこれまたガッタンガッタンでさらに興奮。
美しい白のマーブルに町の人々のこの建築への愛情をも感じる。
中に入りそびれてしまったのが痛す。
そして高いガラス天井が気持ちのよいGALLERIA。
トルコでGRAND BAZAARのような力強い迷路的なアーケードを体験したからか、すがすがしい感じが非常に対照的で好印象。
それらを横目にルイーニという店にてここにしかないという揚げパン的なものを食す。これがうまい。


その後バスで少しばかり遠出し、 PALAZZO MONDADORI 。
愛しのオスカー・ニーマイヤーによる建築がこんなところで見れるとは。
が、残念ながらオフィスなので外観のみ。しかも広大な敷地のど真ん中に堂々と建つような建ち方なのでかなりの遠景。
想像していた力強い建築とは違い、非常に華奢で繊細。つるつるしたプレキャストコンクリートの表面がそれを強調する。
これでまさかあの中のヴォリュームを吊ってるわけなかろうという結論に現地では至ったものの、あとで確認してみると軽やかすぎるほどに浮いている。
取沙汰されそうな列柱のリズムは、文句なしに美しいということだけは掴み取れる。
晴れていればより陰影がはっきりしてかっこよいんだろう。
池との関係くらいは見ることができたなら、チクショウ。


いったん中央駅に戻り、相変わらず2号スガヤと合流。
4時ですでに暗がり始める街のなか、急いでニーマイヤーとは逆方向にある GALLARATESE HOUSINGS へ。 アルド・ロッシ&C・アイモニーニの共同設計。
優しい老夫婦に道案内してもらうも着いた頃にはもうかなりの暗がり。
これがロッシ?てかでかくない?なんて疑いを持ちながら指差された建物に近づく3人。それもそのはず、見えていたのはアイモニーニが設計した茶色いほう。
だがこれがなかなか色は渋いながらもゴージャスでかっこよい。
ガラスブロックに壁柱にはたまたへっこみに階段のシリンダーに、退屈になりがちな集合住宅のファサードがうまく階層化されている。
均質化することなく、だがカオティックになることをもなくうまくまとまっているその姿にコルビュジェのユニテを思い出す。
これだけ立面が複雑になるということは相当内部も複雑にちがいない。楽しいか使いにくいのか、ぼくは楽しめそうである。
そしてぐるりと1周、今度こそロッシ設計の白い棟が現れる。
これまた入れずで有名な列柱空間はほとんど実感できなかったもののアイモニーニ棟とは対照的な限りなく抽象化された立面を拝むことができただけでも満足。
ニーマイヤーに続きバカ高い列柱空間だが、ATHENS同様MILANOの街自体にこのデカロッジアが多い気がする。


さてその後もうひとりMILANOに留学中のチョンくんも合流し、4人でディナー。
ワンドリンク+ビュッフェで7ユーロという、イタリア式飲みスタイル、アペリティボを体験。
食前の軽い一杯というその名前を裏切って、並んだ料理を次から次へと皿に盛ってくるスガヤ&チョンくんのおかげで小さなテーブルの上はかなり幸せな感じに。
そしてこれまたどれもうまい。
イタリアは食べ物だけは裏切らないということをまじまじと実感する。特にフォカッチャがグート。


そしてクライマックスはDUOMOに再び戻り屋上に上って夜景、のはずがなぜかクローズド。ということでここでMILANO建築巡りは突然の終了。


DUOMOの列柱空間も、そしてTORRE LA VELASCAという動物も拝まずしてMILANOを去るなんてコザサになんて言えばいいんだ。


GRATTACIELO PIRELLIを横から。象徴的ー。勝負してます。

DUOMOを正面から。美しー。勝負を放棄させます。この狂気を500年近く維持するテンションてなんなんだ。

GARELLIAを中から。のびやかー。プラダとヴィトンが固める角地の反対側はなんとマクドナルド。

ニーマイヤーをはるか遠くから。この距離からしか拝めません。建ってた場所を考えるとこういうのもありかと。

駅を間違えこんなのも、フクサス。落ちてしまう柱になえる。じゃあその屋根の落ち込みはなんなんだ。

アイモニーニ棟。フェチ的な小窓が心くすぐる。言うなれば戸建て住宅を組み合わせてつくったようなそんな感じ。

アペロ、幸せすぎる光景。30分後には満腹による地獄絵図。だがひとつでどーんの国から来たスガヤとオレには最高の選択肢。