クリスマスです

が男2人で朝の散歩から始まるLONDON2日目。これが妙に楽しい。
人気のいない街が素晴らしく見えるのは真にそのハードな部分が素晴らしいからなんであろう。
若々しいブリックの建物がつくる街の表情が他のヨーロッパの国の雰囲気と違いオサレで爽やか。何より街がキレイである。
さすが紳士の国。
AA SCHOOLのあるあたりを散見し、レムの痕跡をバカになって探す。


その後 BUCKINGHAM PALACE 。何か想像していたものよりさっぱりしているのが好印象の建物。
衛兵交替の式がどうも始まらないようなのであまりちゃんと見ることもなく退散してしまう。ネクスト THE PALACE OF WESTMINISTER & BIG BEN 。
これが激渋。
比較的現代的なのっぺりとした立面の建物が多いLONDONではこれが嫌が応にも特別になるだろうという感じの彫りの深さそして細かさ。
横長の立面にゴシックの刺々しい表現がひたすらに配列複製されていくのに新しさを覚える。
それで溜まり溜まった垂直性を爆発させるBIG BENという構成、おもろ。


それからはクリスマスということでどこも入れない街を右往左往したのちいつの間にか夕方やんというくらいのころ ST PAUL'S CATHEDRAL 着。
イギリスバロックの至宝。クリストファー・レンによる建築。
金融街のビルとビルのスキマから斜に構えたヤツが見えるというかっこいー建ち方。
そして近づけばパルテノンを2段重ねたような構えが迎え入れてくれるよう。深みのあるエントランスってよい。
内部はとにかく今まで見たどんな教会よりもでかく豪華絢爛な感じに圧倒される。さすがバロック
十字の方向性が強調された平面で、また1スパンずつヴォールトではなくドームになっていることで垂直性もあるシャープな空間だ。
そのドームとそれを支える柱が装飾や彩色により切り離されたようなデザインになっているのがどこか浮遊感もある。
ハイライトの交差点のドームがこれまたひと際高くグッドフィーリン。
そんな空間で行われているミサのド迫力なこと。パイプオルガンてこんな乱暴な楽器だったのかというくらいの爆音に少年たちの清らかな声が重なる。
ちょっとしたクリスマス気分をやっと味わった感じで退散。


すでに暗がり&極寒&交通機関全ストップで明らかに疲労ムードのなかもう一踏ん張りで LLOYD'S BUILDONG,LONDON バイ リチャード・ロジャース卿 。
これがかなりそんなことを忘れさせてくれるくらいの衝撃作。
想像以上に明確なかたちをもたないヴォリュームにいくつもの建築言語がとにかく垂直方向に張りついている。
夜の街に浮かぶメタリックな階段、柱のような配管、中銀を思い起こさせるカプセル、赤い光を放つ箱を抱え込むエレベーターシャフト、そしてそれらを支えるフレーム。
もうなにもかも全てむき出し。これは少年萌えない訳にはいかんだろうっていう振り切れ具合。
もうエレベーターの赤い点滅はパトレイバーの世界だ。
そういった建築言語の反復が垂直性を強調するだけでなく例えば配管が横に走ることで水平方向の分節もつくるとこがぬかりない。
乱暴と見えかねない外観である一方で相当建築知ってないとできないだろという知的な側面を感じる。
後輩がショッピングセンターの建築言語を取り出すようなことを一時期ゼミでやっていたが、
それをそのままデザインとして定着させるとしたらこれはそのひとつの解なのではなかろうか。
もともとは建築の隠れたところ(深層?)にあるべきこれらの言語は、そのまま踏襲されればいつまでも誰にも気づかれないものとしてあるんだろうけれども、
言語レベルで建築をデザインするというのは、こういった深層に潜む建築の要素さえも(時には勝手に名付けたりすることで表舞台に引き出した上で)並列に扱えるようになることで、
それらの関係を捉え直し、新たに組み合わせ、見る者体験する者に見たこと体験したことのない状態をつくりえるようになるということなんじゃないかと思う。
それはまさにケレツスタジオで何となく思っていた深層の露出とでもいうべき新しい価値・新しい意味をつくり出す瞬間なのでは。
この建築の場合は少しばかり露出し過ぎだが、それでもその組み合わせでファサードの垂直性や分節を表現するなどしっかりとデザインにまで落ちている点が凄い。
残念ながら中は年に1回しか入れぬよう。中も凄いらしいです。


そして斜め向かい GHERKIN 。こちらはノーマン・フォスター卿。対照的につるりんとしたモニュメンタルな外観。
が下から覗き込めば、巻き付くようなガラスの透明度の違いなどダイヤ型の表層と内部とがしっかり対応している。
そうなるとこの奇抜な外観も形式美みたいなものを帯びてきて見れば見るほどかなり精度高いんじゃないかと唸らせられてしまう。
ぜひジャン・ヌーヴェルのやつと見比べてみたいものだ。


最後はロンドンタクシーでユースに帰還。体が中に浮いちゃうくらいの荒々しい運転がエキサイティング。


ユースの近くにあった妙に気に入ってしまったホテルTHE LANGHAM。板状の煙突はLONDONの風物。

このホテルも即物的でなんかかっこいい。

シティ、朝の街並。スケールがグッド。

「これきっとレムも食ったぜ!」とかバカになって食うこれぞブレクファスト。

バッキンガム。クリスマスにも関わらずなかなかの人。が、衛兵現れず。

サンタの妻を初めて見る。

ビッグベン。掘り込まれたようなランドスケープもなかなか見物。

議事堂だけでもかなりかっこよい。いやぁ、ストイック。

ロンドンタクシー。向かい合わせで5人も乗れるナウいやつ。

クリスマスのせいでいろいろ見逃した気も。あまり見たことがない教会がちらほら。

出ましたフィッシュ&チップス。うまいが決まって粘土つき。

セントポールチャーチルが眠る場所。

ドームは少し離れると見える。街の割り方も分かってます。

リベスキンドに違いないって!」って言い張ってたが実は違うらしいインフォメーションセンター。

LONDONはほんとにかっこよい建物が多い。クラシカルとメカニックな感じがうまく融合されて現代的な街にできあがってる。

そしてメカニック代表ロイズ。不定形な全体像。

伸びる配管、横断する配管。そいえばちょっとゴシックっぽい。

もいっちょ、メタボリック。中銀がダメになってこれがまだまだイケてるのは。

対して電灯被ってもガーキン。巻き巻きスパイラル。中もぜひとも体験したい。

エントランス。かなり大きな部材だが白いせいかかたちのせいかあまり重たくない。

合わせて。未来感、ロイズ負けてないのが凄い。この赤燈、マジパトレイバーやん。


※深層の露出