9日間

の旅も今日でラストなLONDON4日目。
やっと街もクリスマスの眠りから目覚め始めたところで行こう、 TATE MODERN 。


とその前に渡らなければいけないのはそう MILLENNIUM BRIDGE 。
できたときはいろいろあったらしいがとにかくむちゃんこ薄い。とても軽やかー。
興味深いのは両端でデザインが違うこと。左右非対称。
ST PAUL'S側は手すりくらいしか見えないようなすっきりしたデザインなのに対し、TATE MODERN側はまるでランチャーみたいだ。
それが両者に構える建築に対するフォスターの意識を感じるようでいろいろ深読みさせられる。
両岸の高低差などのせいなのだろうか、ともかくも魅かれてしまうグッドデザイン。


そしてTATE MODERN。
細長い煙突と横長のボックスで構成されたシンプルな外観はテムズ川を挟んでほぼ正対するST PAUL'Sに全く引けをとらないほどクラシカル。
この対面を生んだMILLENNIUM BRIDGEの功績はでかい。この対峙したような構成をつくることにより一気にTATE側の価値が高まっている。
その外観におけるH&deMの操作は本当にささやか。
かたちには手を加えず、上にのっかるガラスボックスを付け加えたのと、一部のレンガをガラスにしたんだろうというくらいのことしか分からない。
ここまで何もしないと、そのかたちがどんどんこの場所にしっくりくるように見えてくるから不思議だ。
彼らのメッセージはちゃんと出ているという証拠。


ということで中へ。
パッキパキのミュージアムショップを横目に歌舞伎の幕のようなデカ暖簾をくぐりぬけまずはTURBINE HALL。
嫌が応にも気づかされるこの建築いちばんの空間の大きさと高さ。明らかに外で見たまんまのでかさだからだ。
クラシカルな外観から一転、内部は完全に鉄骨造でとても軽く、スレンダーな鉄骨のオーダーはその空間の大きさを倍増。
その大きな空間のなかで、外観そのままの幅を横断する大きなトップライトから黒いトラス越しに自然光が降り注ぎ、それが磨かれたコンクリートの床にやんわりとはね返る。
もうそれだけで充分すぎるほどのおもてなし。
余裕のありすぎる空間が自然とアートの敷居を下げてくれる。かたちは全然違えど21世紀美術館にどこか似た感覚。


展示空間は外観で表明されたリノベ感が徹底され、
超オーソドックスな展示室と、それらをつなぐ、蛍光灯や設備がむき出しにされた大きな踊り場のようなホワイエというフロア構成がただただ反復。
もちろんどちらも新しくつくった空間には違いなく新築のごとくキレイなのだが、両者のうまい具合な温度差がリノベっぽさを醸し出している。
そのホワイエのなかで、黒く塗られたエスカレータや階段がいかにも後付けしましたみたいなノリで存在していてリノベ性をさらに強調。
最上層の展示室だけは他と異なり、''でかいゲーツギャラリー''みたいな感じのとても明るい空間。
それにしてもあれほどの大きなホールを有しているにも関わらずな展示空間の容積。
発電所というビルデングタイプの超人的なスケールを身を以て気づかされる、それほどに建物全体をめいっぱい使った見えとシークエンスのコンビネーション。


展示物も相当レベルの高いものばかり。
いちばんはモネの''睡蓮(after 1916)''。衝撃。
何の輪郭もないぼやけた世界なのに何の意識も傾けずともはっきりとした世界が見える見える。
2人の人間が同時に見たとして、どんなはっきりとした絵よりも強い共感を分かち合えるようなすごい世界だ。
共感てものが孕む100%伝達不可能性みたいな弊害なんてものははなからない解放的な世界。
それを前に2人で立ってればもうことばなんていらなくなるんじゃないかってくらいの、ダーリングと見たい、そんな世界。抽象の一種の到達点。鳥肌が立つ。
その他にはCornelia Parkerの潰された銀食器のも平面と立体の狭間みたいな空間ができあがっていておもしろい。
あとはThomas Demandも建築模型つくったことある人なら誰でも衝撃を受けそうな神の精度。
そいえばSol LeWittって人のも、という感じでキリがないくらいいいもの揃い。じっくり見れなかったのが惜しい。
そんな中でも最も時間をかけて見たのは企画展のCildo Meirelesという人の展示で、
一面粉の部屋(の前室)での長靴をはいたりそれに付いた粉を落としたりという一連のめんどくさい流れが、非日常的なのにどこかの玄関先のような日常性を楽しめグー。
最後はTURBINE HALLに戻ってドデカインスタレーション。これは正直よく分からず。


もう少し時間をかけて再度楽しむか一瞬迷うもまた来ることを誓い、最後の最後 BRITISH MUSEUM へ。
非常に完成度の高いギリシャ様式のファサードはそれだけでかなりの見応え。
何というか、廃墟化したパルテノンを見たことがあるだけに資料的価値のあるものとして興味深く感じてしまう。列柱空間を実際に体験できたり。
らしからぬ小さな通りに面して建つことによる引きの無さはコの字プランがカバーし迫力も充分。
そして急いでもうおなじみフォスター卿による GREAT COURT 。とても繊細な構造材で3000枚のガラスで覆われた外のように明るい中庭。
その屋根が立体トラスなんかじゃなく滑らかな面として表現できているので、不定形な乳白色の屋根に浮かぶぼんやりとした空と雲がとてもきれいに見えてよい。
取り囲む四角と真ん中の円という単純な幾何学の平面は、
例えばその四角の隅に並ぶカフェのテーブル、またはその一辺に沿って配されたチケットブース、はたまた円に巻き付くように取り付けられた演劇的な階段といったように
家具などの置かれ方を自然と誘発し、結果としてのそれに群がる人々のレイアウトはとても多様で不均質。
アジア人ばっかりだったが、寒いLONDONのなかでかなりいきいきしている空間のひとつに思う。うまく使われている。
図書室は残念ながら時間切れ。不覚。


これにて冬休み旅行第1弾が終了。次は元旦旅行、INスイス。まだまだ行くえぇ。


ポールの街、こちらはスミス。ディス イズ ロンドン。

ザッツ ミレニアム。かっこよさしか考えてない人々の街で、断トツにナンバーワン。

それ越しのポール、こちらはセイント。ヤツこそロンドンの中心。

そして帝都。塔性では負けてません。

その帝都に向かって構えるランチャー。フォスターとロジャースの建築は有事に対応してるに違いない。

側面。この縦長窓がなんともかっこよい。明るさなら横長ってことにこの旅で気づいたが、どうしても縦長窓のかっこよさも捨てがたい。

歌舞伎の幕(定式幕というらしい)のような暖簾をくぐってスタート。この色使いの勇気。

タービンホール。澄んだ空間、少しばかり斜面。

各階と各展示室をつなぐ踊り場ホワイエ。クラシカルな展示室に対しこっちはポップ。

はまる階段。ここにもどこかリノベ感。

ホワイエにはこんな感じにカフェやらショップやら。ここにて巻きものベコメン。

でかいゲーツ。スケールは変われど同じような空間にできている。

ときにはフォトジェニックに。さすがぬかりない。

最上階のレストランにて。これがクールだ。向こうにはまたもポール。

テーブル席は大盛況、味はロンドンですが。

対して1階のカフェ。こちらは公園に向かって大開口。

ジャッキンジャッキンのミュージアムショップ。ここだけ異色。

最後に出たママン。六本木、ソウル、とこれで3つ目。ゲットだぜ。

最後の最後。それに相応しい構え。

この3つの感じもまたよい。雁行とはまた違う。

この照明の納め方も気に入る。古代と現代がちゃんと繋がってる感じ。

グレートコート、タービンホールとは違う青白い世界。

空の見え方。どことなくデジタル。

トーテムポールとメシを食う人。やはり人間隅っこが落ち着く。

最後の晩餐。空港にて、豚骨スープのようなターゲスズッペ@イタリアン。ロンドンの食事に国籍はない。