電車の中で

スリに遭うという気分の悪い事件から始まるイタリア3日目の朝。
胸ぐらつかみながら日本語で罵声を浴びせて取り返せたのでなんとかなったものの、ぼくにとってのイタリア人の信用はここで完全に失墜する。
が、着いたLUCCAは田舎なせいかどこか優しい城壁の街。


卒制でお世話になった広場本に載っていたPIAZZA ANFITEATROは想像以上に悲しげな場所だったが、
「知らない街では教会にとにかく入りまくる」という方針がピタッとはまり落ちていた気分もかなり盛り上がる良作揃い。
木の植えられた塔に登れば気持ち緑が多い街並が雨のなか豊かに見える。


そしてガイドのムツロウと合流し、ネクスPISA
塔、聖堂、洗礼堂の伽藍配置のごとき関係と、真っ白の肌に影を落とす積み重ねられたアーケードがとてもとても美しいのだけれども、
悔しいことにタイムリミットで中を逃す。


20年後のカムバックを誓い、ムツロウプロデュースのトスカーナ食めぐりがスタート。


LUCCA。とても分厚く美しい城壁に守られた街。

PIAZZA ANFITEATRO。スタジアムという建築がそのまま都市の形態にすり替わっている。

ものの、盛り上がりは継承できていない。段差という言語が足りてない。

その、建築が都市に成り代わるときの痕跡。

こんな感じの過渡期の教会がごろごろ。進化の過程を見るようでとてもおもしろす。

なかなか見たことない気がする行き来可能な2重側廊。これだけで空間の厚みの感じがかなり違う。

今度は工場みたいな、ファサードなき教会。

装飾が多いが、光の感じがごてごてしさを感じない。むしろとてもクリアな落ち着きのある空間。

CHIESA DI SAN MICHELE IN FORO。おどろおどろしい、板って感じのファサード。ロマネスクがどんどん大成してきます。

そしてDUOMO。これまたアーケードによるスクリーンが軽やか。

これは藤森さんが好きらしいTORRE GUINIGIのてっぺん。こういうふうに木が生えてる。

そこからの眺め。シューン。

そこからPISA。想像以上にななめってるTORRE PENDENTE DI PISA。緊張感抜群。

DUOMO。「PISAは斜塔じゃないんです!」って藤岡先生が力説してたらしい。それも納得のロマネスクの頂点。

そしてBATTISTERO DI SAN GIOVANNI。グッドプロポーション、ビューテホー、エクセレント。

こんな良作3つが完璧な配置で建ってるなんて、法隆寺以来な気がする。

トスカーナはこれです、食。ほんの序章に過ぎないアペリティボの一幕。