早起きして

朝っぱらからパラーディオを眺めながらの散歩。
同じことを考える人もいるもので、 BASILICA の前でクラウディオとバッタリ遭遇し、朝食を共にする。
そうして始まった今日は旧市街のパラーディオをひたすらくまなく見て回るコース。
見てはレクチャーは当たり前だが、休憩にコーヒーを飲んでもレクチャーが始まっちゃうで、あっという間に時間が過ぎていく。


なかでもパラーディオのパラッツォのほとんどが二層構成であることにより引き立てられた PALAZZO VALMARANA のコロッサロがつくる垂直性がすごい。
VICENZAのイタリアらしい窮屈な都市構造においてこのコロッサロがつくる突き抜け感は爽快である。
パラーディオが『建築四書』などで思い描いたパラッツォたちは決してこうしたVICENZAの都市構造に合うものではなかったらしいし、
またそこで生まれる葛藤がパラーディオのパラッツォを見る上でおもしろいのであるが、
今回のように主にファサードだけをひたすら見るなかでは、少し特殊なBASILICAを除けばやはりこれが断トツにおもしろい。
残念ながらこの道も細く立面を立面として把握できない都市の中では、
コロッサロを持たないパラッツォたちからはその大きさのつくる圧迫感をどうしても感じずにはいられないが、
PALAZZO VALMARANAの場合はコロッサロの生き生きとしたリズムがGLレベルのパースペクティヴにおいても感じられかつそれが空まで突き抜けることで、
マッスをリズムという柔らかなもので捉えられることができるようになっている。


そう考えるとPALAZZO PORTO BREGANZEという建物は、
VICENZAにおいて唯一立面を立面として見れるほどの引きをもった建ち方をしているパラッツォなのではないか。
にしてもさすがヴェネト、スプリッツがうまい。


朝の散歩で見つけた柱頭の競演。小粋だ。

まずはホテルの前の PALAZZO CHIERICATI /1557。柱同士がめり込みあってグラビティをつくる。

『オシリ柱』と誰かが名付けてしまったくらいの生々しさ。

その側面の様子。CORSO PALLADIOに対して第二のファサードを向ける数少ない建築である。

その横にある CASA COGOLLO /1559。通称パラーディオの家。でめきんみたいな窓の配置が細長いファサードの中に水平性をつくっている。

PALAZZO DELLA RAGIONE ''BASILICA'' /1580。セルリアーナのつくる深みみたいなのが最も効果的に現れている。その奥行きといったら、暖簾に腕押しのように限りなく深い。

どこまでも気品高く。裏の裏まで抜かりなし。

セルリアーナのつくるこのモノクロームはたまらない。これが精神の数学ですか。

その眼前にはLOGGIA DEL CAPITANIATO /1572。ロッジアのおおらかさとコロッサロの威厳が合わされば最強。しかもかつこれはとてつもなくプルータル。

その前にてパラーディオの白の取り扱いについてのレクチャー。ギリシャ建築との大きな違いはあくまでそれは大理石でなく塗り物だということ。

PALAZZO THIENE /1542。ブラマンテを参照したらしいが仕上げによって相当重々しい印象。

PALAZZO PORTO /1544。先の重々しさに対して美しい装飾などによりこちらは非常に軽やか。彫りが心地よいという感じ。

PALAZZO BARBARAN DA PORTO /1569。同じ二層構成でも格段にエレガントになってきます。隅部の処理もおもしろい。

PALAZZO VALMARANA /1565。やはりコロッサロはすごい発明です。

藤岡先生が熱弁してた記憶もある彫刻による端部の処理。これがミニ・オーダーの存在を気づかせる。

そして一同はクライマックスの VILLA ALMERICO CAPRA ''LA ROTONDA'' へ。そのアプローチ。

これがでかいでかい。初めて体験するヴィッラのスケール感に今回は圧倒されるばかり。残念ながら入れずだったのでまた来ることを誓い今日は退散。

昨日に続いて今日はアシスタントのリンの誕生日。めでたいことが続きます。