集団風邪

状態のチームメルクリ。半分以上は風邪引いてるんじゃないかってくらいみんなの顔色が優れない。
そんな感じの本日は CASA COGOLLO と VILLA BARBARO がクリーンヒット。


まずエスキスの合間を縫って見に行った CASA COGOLLO 。
何といっても小さな中庭に設けられた階段が素晴らしい。
中庭の小ささに応えるように天高がかなり低く抑えられているのだが、
そのことで常に中庭に飛び出さんかのような感覚を覚えながら階段をのぼらせてくれるのがとても心地よい。
てっぺんまで行けば勾配屋根の軒桁が目の高さくらいあって、それ越しに中庭と隣りの家の屋根を見ることになるのだが、
それが無性にこの建築がいかに自分の身を小さく縮めていきながら都市と関係しているのかを象徴しているようであり、
しかもそれがこれまた心地いいスケールなんだからどうしようもない、完敗。


そして VILLA BARBARO /1558。
VILLA FOSCARIと同じく十字平面の大広間を持つのであるが異なるのはその十字の4つの腕のうち3つで外部と接続することである。
これが魅力的な内部空間を生み出すのはもちろんであるが、ぼくにとっておもしろかったのはファサードにおけるその平面との対応。
これまでのヴィッラではどうもファサード4面のうち表と裏という関係にある2面にしか注目がいかないような感じであったのが、
このヴィッラでは視認できるファサード3面が内部においてひとつながりの平面で結ばれることによりとても生き生きとした関係を持っている。
コロッサロや大きなペディメント、きらびやかな装飾によって正面にメインファサードというものがまずつくられて、
それが側面のファサードにおいて、小さな破風やアーチ、テラスなどといったエレメントの付与や窓の大きさの調整などによりチラリとまた顔を出す。
十字平面の広間の残余として平面上にできる部屋の、両端をおさえるかのような開口の開け方も絶妙で、
そのことがまた側面に現れる広間の窓に求心性を持たせるかのようだ。
単なる言語だけでなく、こうした関係によってつくられたグラビティというものはなんとも強い。


今日でディナーも最後。オリガミコミュニケーションで親睦をはかる。


見残したものを見て回ります。まずPALAZZO THIENE BONIN LONGAREのメインファサード。見よこの扉のでかさ。

その中庭へのアプローチ。この部分がこれだけ美しく達成されているパラッツォも少ない。

1日目に見たときは暗くてよく見えなかった中庭側のファサード。ロッジアを構成する列柱の両端の柱が壁にインテグレートされてしまっていてさむい。

2日目に絶賛を浴びせたPALAZZO VALMARANAの中庭。壮大なメインファサードからは想像できない程いろいろな妥協が感じられる。

かなりタイトな階段室だが、こうした柱の用い方でエレガントさは外さない。天井といいかなりかっこよす。

PALAZZO CHIERICATIに入ったらぜひこの視点からのCASA COGOLLOを見よ。

CASA COGOLLOの中庭。イレギュラーに飛び出したブリッジがこれまたいいリズムをつくるんだ。

廊下を中庭側にするところが秀逸です。常にブリッジのようになっていい具合の浮遊感。

これがてっぺんの感じ。いやぁ、低い低い。

これもちゃんと行きました、 TEATRO OLIMPICO /1580。これはむしろ成り立ちに興味を覚える。

メルクリは実は今日がラスト。最後の最後まで粘る学生たち。その後の求心力の低下は否めない。

VILLA EMO /1566。一直線にのばした付属屋が強い水平性をつくる。

この建築のロッジアもまたインテグレート型。この場合ロッジアは玄関的な性格が強いように思う。

付属屋。爽快なパースペクティヴ。

いかにも裏な裏側のファサード。ホントにこのへんはハッキリしてる。

大広間。やはりなにかしらの中心がないとこうした大きな空間はツラい。居場所に困る。

またまた階段。

たまには広間以外も。窓のへこみと実際に窓枠が納まっている部分の関係が興味深い。

VILLA BARBARO。両端の不思議なスクリーンに目がいってしまう。

側面のファサード。窓どうしの参照関係がナイス。

正面側面ともに。基壇のようになっている庭もおもしろす。

そんなファサードが望む風景。昔の地主ってのはすごい。

付属屋から主屋へのアプローチ。それらの関係のよさが伺える。

オリガミコミュニケーション。鶴だけ折れてもあきまへんね。手裏剣くらいは覚えたい。