さらばフランス
の今日。MARSEILLEの予定だったが諸事情により変更しFIRMINYへと向かう。
最後までとことんコルビュジェ。
EGLISE SAINT-PIERRE DE FIRMINY /2006はまるで篠原一男のようである。物凄くカタチが強い。
屋根と壁の境は曖昧になり、窓も窓らしくあけられたものはほとんどなくて、それは何かいくつかの器官がくっつけられた大きな殻のようである。
中に入ればそうした印象はさらに増幅。
床まで波打つこの殻の有機的な面の連なりのなかで純粋な幾何学を与えられることでそれら器官はさらに際立ち、
そのそれぞれからこぼれるさまざまな光を、まるで殻がしている呼吸を見ているかのように受け取る。
外をぐるりと囲んでいたオーナメンティックな雨樋も実はそうした器官の一部で、また新たな空気を内部に届けている。
ここまで歩いてきたFIRMINYの街の雰囲気なんかも全く遮断してただこの光と対話する。
そんなとてもとても閉じた世界。
その後 UNITE D'HABITATION DE FIRMINY-VERT /1967。
とてもストイックな間口がダブルハイトの薄く高い空間と緩やかな勾配の階段によってなんともリッチな空間へと変貌する。
そして何よりも黒板でできた大きな引き戸。
この大きさとこの遊びがこの空間にライフを与えている。
ピロティの空間や学校、屋上庭園などはとても大らかで、特に学校のユニバーサルな空間は子供たちのハシャギっぷりを見ているだけで良さが分かる。
ここでも現れる黒板+引き戸のコンビネーションとその引き戸のリズムを横断するような長い長いベンチの関係が絶妙。
それにしてもスケールという魔法のようなものを可塑的なものに仕立て上げたモデュロールってやっぱりすげえ。
短くも充実のフランスからネクストオランダ。
EGLISE SAINT-PIERRE DE FIRMINY、まずはスタジアムからの視点。
さまざまな光が踊る。ここまで多様な光を感じ取れる空間があったろうか。
UNITE D'HABITATION。ベルリンのよりもはるかにシンプルでピュア。
そのピュアさはピロティにも。傾斜地との関係も含めとても心地よい。
タイトであるが緩やかな階段。間口が狭いかわりに奥行きをめいっぱい楽しませてくれる。
学校。このユニテは実際3棟建てられるはずだったらしく、学校も3棟分の子供たちを見込んでいたのでとてもおおらか。